壁とチューしてたから
週末姪っ子たちとお出かけして、初めて手相を見てもらい、色々言われてナルホドーと感心していたら
占い師のおばちゃんが「手相は一年で変わるけど、運命は変わらないからね。時間があるときに運命占いに来てみてよ。この子が誰と結婚するかも決まっているよ」と姪を指して言った。
大人は流して聞いていたけど 姪っ子の表情は曇った。
姪っ子と二人になったとき、数年したらあなたも彼氏とデートで賑やかな街に行くことになるんだろうねーと呟くと
「でも、私の結婚する人もう決まっているんでしょ。なんだか嫌だ」不安気な姪ちゃん。
ああ、占いの話?あんなの当たるかどうか分からないよ。と言うと、少しにっこり。
しかも結婚する人は決まってたとしても、それまでに何人かと付き合うことになるだろうから、お付き合いするのは一人じゃなくていいのよ、と言うと、更にニマニマ。
おばちゃんの話から
(まだ好きな人もいないのにどこかに結婚相手がもう決まってる。好きになるかもわからないのに、どこかにイイナズケがいる。そんなの嫌だ)
と、考えてたようだ。
よかったね。君は自由だよ。まだまだ、いろんな人を見て経験して考えて、結婚相手と出会っておくれ。
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ちょっと心が解れた彼女が前のクラスの子の話をし出した。名前はSちゃん。
クラスのみんなに”気持ちわるい”と嫌われているらしい。
なんでも、Sちゃんには彼氏がいるそうな。他にそういう子はいないらしく、その時点で特別な存在のようだが、Sちゃんがトイレの壁にチューしてるのを他の子が見たらしい。瞬く間に噂が広まり、それが原因で気持ち悪いの評価になってしまったようだ。
話は義理姉が買い物から帰ってきて一時中断してしまったが、なんだかモヤモヤした。姪を含めたクラスメートの思考を分解すると以下が気持ち悪いと思わせた要素。
- Sちゃんには彼氏がいる
- トイレで壁にチューしてた
もっと具体的に分解すると
- 小学生にとって彼氏の存在が未知。彼氏がいるなんて、なんだかやらしくてイケナイ気がする
- チュー・・・まだ早い、恥ずかしい、イケナイ気がする
- 壁にチューする・・・なぜ?理解できない行為
こんな感じなんだろうと思う。そして、
本当に壁にチューしていたのか。噂が嘘の可能性はないか?
というポイントはその場で姪にツッコミを入れたかった。
なんらかの理由でそう見えてしまっただけの可能性はないか?
誰かがSちゃんを貶めるためについた嘘の可能性は?
大人になって昔いじめられていた人の話を聞くと、根も葉もない嘘をつかれて傷ついた話が多い。私が小学生の時はそんな可能性これっぽっちも考えたことなかった。
でも実際は起こっている。
この話を考えてて悲しくなるのが、壁チューを見たという子がSちゃんに「何しているの?」と目撃者が聞くことができて、「キスの練習だよ」とSちゃんが答えていたらどうなってたのか。その二人の仲がよかったら「変なのー」「ここでしないでよー」とか「私もやってみるー」とふざけてクスクス笑って収まっていたら。そんな展開もあり得た話ではないか。
噂が広まり孤立した事実から、Sちゃんは少なくとも
- 彼氏がいて
- (彼氏がいるからか、その他の理由で)周りから少し浮いていて
- それまでも仲間はずれにされがちな存在
だったと推測できる。
小学生の世界も色々あるし、そこにどれだけ大人が別の視点を持たせることができるのか、想像力を働かせる練習をさせられるのか分からないけど、議論のポイントを投げかけられたのではないか?ここは大人の役目なのではないか?と、ひとつ大人の役目を自覚した。
単純に、Sちゃんがちょっと変わった子で、壁に顔をつけていただけ(特になんの意味もない)って場合もありうる。でもそんな変わった子を仲間はずれにしないで「お前変わってんなー」で流して、遊びの輪に入れてくれるような関係性を経験してほしいなとおばさんは思いましたよ。難しいけどね。自分も大人になってから分かったことの方が多いしさ。
子供の話は興味深い。時間がゆする限り、彼女たちと話をしたい。